2022開成への道

国語偏差値25帰国子女の中学受験挑戦記

SAPIX4年生夏期講習14日目 国語⑫

テーマ 物語文「ふしぎな顔」

殿様の命で面の打ちくらべをすることになった春満と石王。

春満は<この世でいちばん美しい、やさしい顔の面>を作ることを決意。 旅先で出会った美しい娘の家に滞在してその娘の顔を写した面作りにとりかかる。

ある日、春満の母親が訪ねてきたところ娘は「きたない、いやなおばあさん」とつぶやいた。 春満は面作りを優先するあまり母を見捨ててしまうが そのことを激しく後悔、娘に対しても失望して娘の家を飛び出した。

旅先で熱病に罹った春満だが、人々は感染を恐れて誰も彼に関わろうとしない。 道端で倒れていた彼が目を開けると、看病している母の顔が見えた。 彼が求めていた美しく優しい顔は、母の顔であった。 自分の愚かさを思い知った春満は 母と一緒に故郷に戻り面打ちに没頭する。

一方の石王は<この世でいちばんおそろしい顔>の面を作ろうとしたが 思うような顔に出会えずにいた。 そのうちに春満が面を打ち上げたという噂を耳にして 夜中にその面がそなえてある神社に忍び込んでこっそり持ち出した。

石王は春満の面の出来栄えに感心すると同時に 自分がこれ以上の面を作れるだろうかと不安になり 春満の面を燃えさかる炉に放り込もうとした。

その時に物音に気付いた石王の息子が目を覚まして 「こわいっ」とおびえた声を上げた。 鏡を見た石王、恐ろしい顔は自分の心の中に潜んでいたことに気付いた。 春満の面を神社に返しに行き、自分の面作りに取り掛かった。

やがて石王は完成した面を持って春満を訪ね、 一切の経緯を洗いざらい打ち明けて 打ちくらべを辞退することにした、と話す。

春満は心を込めて面を打っているうちにわざ比べなどする気がなくなった、と答え 彼もまた辞退したため打ち比べは取りやめになったが 二人の作った面は<ともにふしぎに人にせまる力を持った面>と言われて後世まで残った。

人の心の中にある弱さ、醜さ、そして美しさ。 全く逆の表情を作ろうとした二人がたどり着いた境地、 芸術家としての矜持、繊細な感情の動きを感じてほしいものだが 長男にはまったく理解できないようだ。 <おそろしい顔>って、どんな顔かな?と変顔でふざけているばかりだった。

…そういう問題じゃないんだよ。 夏期講習を締めくくる読み応えのある物語だったが、 激しい徒労感に襲われる。