2022開成への道

国語偏差値25帰国子女の中学受験挑戦記

SAPIX4年生夏期講習6日目 国語⑤

テーマ 物語文「飛べない魔女」

いつまで経っても飛べるようにならない魔女がいた。 陰口をきかれながらも1人で懸命に練習をしていた。

飛び方を覚えた魔女たちは黒猫を相棒に選ぶが、 猫たちも飛べない魔女には寄り付かなかった。

14歳になっても飛べるようにならなかった魔女は 長老たちに呼び出され、村から追放される。 彼女には花を咲かせる魔法の力があったが 誰もそれを評価しようとしなかった。

森のはずれの小屋で一人暮らしを始めた飛べない魔女は お菓子と薬を作ると街に売りに行った。 そこでも「飛べない魔女なんて魔女じゃない」と決めつけられたことを嘆く。

帰る途中に「ドラゴン退治をした者には褒美が与えられる」という 立て看板を見かける。 森に住み着いたドラゴンが多くの人を焼き殺した、という噂を信じる人々は ドラゴンを恐れて狩りや木の実採りに行けず困っていたためだ。

ドラゴンを自分の目で見てみたくなった魔女は森に行った。 ドラゴンがわざと狙いを外して炎を吐いたことから 彼は人を焼き殺すつもりなどなく、 ただケガをして動けなくなっていただけだということに気付く。 魔女は翼に突き刺さった矢を抜き、傷口の手当てをして 森に帰っていった。

傷が癒えたドラゴンは魔女の小屋を訪れた。 何故助けてくれたのか理由を聞くためだった。 お互いに似たもの同士だと感じたからだ、という魔女。 飛べないから魔女じゃない、ドラゴンだから人を焼き殺す、 という世間の決めつけにうんざりしていたためだ。

ドラゴンなら金銀財宝を溜め込んでいるに違いない、 と思い込んだ強欲な人間たちが押し掛けてきたが ドラゴンにとっての宝物は世界中を旅して集めた 数多くの不思議な物語だった。

相棒になるなら聞かせてやってもいい、 というドラゴンの背に乗って 広い世界に旅立った魔女。 彼女は相棒と空を飛ぶ術を同時に手に入れて 本物の魔女になった。

という物語。

一方的な決めつけ、偏見、周囲と違う者への無理解、 それらに傷つき苦しんだ魔女とドラゴン。 相棒となった二人の前途が幸せなものであってほしいと強く願う。 爽やかな読後感のあるファンタジー小説だった。